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キャリア形成は自己責任
2022.02.16

日本は企業社会だったがゆえに、キャリアの自立意識が浸透しておらず、キャリアを支える公的支援も最低限しか整備されてこなかった。
ところが、今や企業社会は崩れ、個人のキャリア形成は難しくなっている。
その中で、キャリア形成に関しては、個人の自助努力が強く求められるようになってきた。
それを象徴するのが、「キャリア形成は自己責任」という言葉である。
しかし、就職氷河期に正社員になれなかった学生は、売り手市場の年に就職した学生に比べ、能力や努力が足りなかったのだろうか。
パートナーの転勤や長時間労働で子育てや介護のために仕事を辞め、キャリアが途切れたのは本人だけのせいだろうか。
パワハラ上司の理不尽な評価により、昇進機会を奪われたのは、部下が至らなかったのだろうか。
このように自己責任以外の要因でキャリアの袋小路に入り、抜け出せずにいる個人は少なくない。
キャリア形成は、周囲や環境の影響も大きく、個人の努力だけの問題ではない。
振り返ると仕事仲間や家族の支えがあったからこそ、今のキャリアがある人がほとんどなのではないだろうか。
にもかかわらず、キャリア形成において自己責任を過度に求めると、構造的な問題を個人の問題に矮小化してしまう。
当事者が置かれている環境や他者のサポートにもっと目を向ける必要がある。
独立して働くときに重要なのは、仕事を頼んだり、チームを組んだりできる人とのつながりであると考える。
人とのつながりが豊かな個人ほど、キャリアに展望を持っている。
「『自立』とは、依存しなくなることだと思われがちです。でもそうではありません。『依存先を増やしていくこと』こそが自立なのです。これは障害の有無にかかわらず、すべての人に通じる普遍的なことだと思います。」
孤立からキャリア自立は生まれない。
支え、支えられるから、人は自立できる。
十人十色のキャリア選択は、本人の自助努力と、周囲の協力や社会の支援の両方があることではじめて可能になるのはではないだろうか。
#希望者・利用者様へ #キャリアコンサルティング
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